硝子体出血(しょうしたいしゅっけつ)
眼球はカメラと同じような構造になっていて、外界から光が目の中に入るとレンズ(水晶体)で屈折して目の奥のフィルム(網膜)に焦点の合ったきれいな画像が写ることでものを見ています。カメラのレンズの後面からフィルムまでは空間がありますが、目の場合にはその空間には硝子体という卵の白身のようなドロッとしたゲル状の物質が入っています。その奥にフィルムにあたる網膜があります。カメラの中に埃が多く入ると埃が影を落してフィルムに光が届かない分、きれいな画像を得られなくなります。それと同様に、硝子体が混濁すると網膜に光が届かず、きれいな画像を得られなくなり、暗く感じられたりかすんで見えたり一部見えない部分が出たり、視力が低下します。
硝子体出血とは
硝子体出血は網膜の血管が何らかの理由で破れて眼内の硝子体腔に出血が溜まった状態のことをいいます。出血は1~3ヶ月でゆっくり吸収されることもありますが、残存する場合もあります。出血は光を通しませんので、出血が残存していると全体的に暗く、もやがかって感じられたり、黒い物体が浮遊しているように見えたり、視力が低下したままになってしまいます。吸収されない出血を取り除くには手術しかありません。
手術の方法
混濁した硝子体を取る手術を硝子体手術といいます。
手術により、硝子体と共に眼内の出血を取ります。出血を取ると眼底の網膜の状態を観察できますので、出血の原因を確認します。眼底出血が原因の場合はレーザーなどの処置を追加し、網膜上に増殖膜がある場合には可能な範囲で取り除き、網膜剥離などがあった場合には網膜剥離に対する手術を追加します。網膜剥離があった時や止血のために手術の最後に眼の内に特殊な手術用ガスを入れることがあります。ガスが入った場合には手術後、終日うつむき姿勢を数日間続けて網膜にガスを当てて治療します。この手術で出血の大部分は除去できますが、ごく少量は残存します。手術後残存した出血は吸収されやすいため経過観察します。出血で低下した分の視力は回復しますが、網膜に病気が見つかった場合にはそれによる視力低下やゆがんで見えるなどの症状はそのまま残ります。手術後、落ち着いてから、網膜の病気に対する治療が必要になることがあります。