血液凝固科からのお知らせ
2024.02.21 当科受診中の方へ 凝固因子製剤予約期限ルール変更のお知らせ
患者さんに確実に凝固因子製剤をお渡しできるよう、予約期限ルールを変更しました。くわしくは、こちらをご覧ください
血液凝固科を初めて受診される血友病の患者さんへ
【医療制度に関するご案内】
当科の特徴
全国から患者さんが訪れる血液凝固異常症の専門外来
血液凝固科では、血が止まりにくい病気をもつ患者さんの専門外来を開いています。小児から高齢者の方まで多くの方が全国から診療や相談に来られます。スタッフは血液凝固異常症に精通した専門医5名(非常勤医師を含む)、専任看護師1名、臨床心理士1名、ソーシャルワーカー1名で構成されています。
当科には、全国の血友病患者さん7,070名(2022年5月現在)の13%にあたる930名(2022年9月現在)の患者さんが登録され、そのほかにもフォンヴィレブランド病や第VII(7)因子欠乏症や第X(10)因子欠乏症の患者さんなどが治療や検査に通っています。
さらに、先天性のプロテインS欠乏症、プロテインC欠乏症やアンチトロンビン欠乏症、また、後天性疾患の抗リン脂質抗体など血栓でお困りの患者さんの診療も積極的に行っています。
遠方の方は、日常診療は近くの施設でおこなっていただき、年に数回程度当科に通院されて経験豊富なスタッフと相談し、専門的な診療や検査を行っています。その場合は地元の病院と情報交換しながら、最新の治療がおこなわれるよう連携し、ネットワーク構築に心がけています。
東京都エイズ診療拠点病院としてのHIV感染症診療
荻窪病院は1996年にエイズ診療拠点病院制度が設置された当初から、地域のエイズ診療拠点病院として指定を受け診療にあたっています。当院では血液凝固因子製剤によりHIVに感染された薬害エイズの患者様以外にも300名を超える患者様が来院されています。
また、HIV感染者の生殖補助医療の研究について慶應義塾大学などと共に長年取り組み、国内だけでなく海外からも多くの挙児相談を受けてきました。HIV感染男性の精液からHIVを完全除去した生殖補助医療により妻子の2次感染を予防できる方法を開発しました。現在は東京医科大学病院産婦人科と連携して診療にあたっています。
- 血液凝固科の注力疾患
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出血性疾患
- 先天性血友病A・先天性血友病B
- 第VII(7)因子欠乏症 第X(10)因子欠乏症などの凝固因子欠損症
- フォンヴィレブランド病
- 後天性血友病A
- 原因不明の出血性疾患
血栓性疾患
- 抗リン脂質抗体症候群
- プロテインS欠乏症
- プロテインC欠乏症
- アンチトロンビン欠乏症
- 原因不明の血栓性疾患
その他の疾患
- HIV感染症と関連日和見感染
- HCV感染症
血が止まりにくい病気(出血性疾患)血友病とは
いわゆる青あざが知らないうちにできている、青あざの部分にしこりがある、押すと痛い、紫色に大きく広がってくるなどの症状がある場合、軽い運動や打撲の後に筋肉の痛みや腫れが次第に悪化する場合、足や腕の関節が痛み腫れる場合、鼻血がなかなか止まらない、歯を抜いた後に出血が続くなどの症状がある方は、血が止まりにくい病気かもしれません。そのような症状がある方は、血液を固める血液中の蛋白質(凝固因子)の量や働き、血液中の小さな細胞成分である血小板の数や働きに異常があるかもしれませんので、専門医に相談して、必要に応じて血液の検査を受けてください。このような病気は生まれつきの体質(先天性疾患)であるものと大人になってから発生するもの(後天性疾患)があり、前者の代表的病気は先天性血友病Aで後者の代表的病気は後天性血友病Aです。
先天性血友病は、出血した際に血液を固める血液中の蛋白質(凝固因子)に異常があるため血が止まりにくい病気の中で最も多い疾患です。基本の治療は、血を固める薬(凝固因子製剤)を注射することです。多くの新しい薬が開発されており、凝固因子製剤を注射する回数も減ってきていますが、一生付き合っていく病気であり、生活上の注意が必要です。そのため当院では以下のように、患者さんの包括医療(トータルケア)を行っています。
包括医療(トータルケア)で患者さんを見守る
血友病の専門医に加えて、専門看護師、整形外科、消化器内科、リハビリテーション科、臨床心理士、ソーシャルワーカー、薬剤科などと連携し、包括医療外来で協議し、総合的な診療を提供しています。診療経験が豊富な専門医、専門看護師、臨床心理士やソーシャルワーカーが常駐しており、患者さんの症状だけでなく、心配ごとや悩みについての相談を受け、その解決方法や治療に関する最新情報もたくさん集積していますので、スタッフに声をおかけください。また、ソーシャルワーカーには、医療制度の相談の他に、身障者診断、保険、経済的問題などでお困りの場合もご相談ください。
血液凝固因子製剤によるHIV感染症とHCV感染症については、包括医療の中で当科の専門医が治療と経過観察を行っています。
血液凝固科の包括医療への取り組みが紹介されました【日刊ゲンダイ 2017.3.6 】
血栓性疾患(血栓症を起こしやすい病気)
長時間、体を動かさないために起きるエコノミークラス症候群として有名になった深部静脈血栓症、肺塞栓症などの血栓症は妊娠中や感染症の時にも起こりやすくなります。このような血栓症を起こした人の中には、生まれつき血栓症を起こしやすい体質であったり、大人になってから発生した血栓症を起こしやすくなる病気を持っている場合があります。血液が固まりすぎないように調節する血液中の蛋白質(凝固抑制因子)の量や働きに異常があったり、体の免疫機能の異常によって血栓症が起こりやすい血液の異常が起きているかもしれません。
特に比較的若い年齢で血栓症を起こした場合は、このような原因を基礎疾患として持っている可能性を考えて検査を行う必要があります。血栓症を起こしやすい何らかの基礎疾患がある方は、定期的な検査と再発予防の治療が必要となります。また、生まれつきの体質と診断された場合は、遺伝的関係から血縁者にも検査を受けていただくようお勧めしています。血縁者に異常が認められた場合は血栓症を発症前に予防する治療を受けていただくことができます。
血友病患者会とその活動
血液凝固科には国内最大の血友病患者会があります。患者会は当科に通院する患者さんで構成され、その活動も総会・サマーキャンプ・クリスマス会の他、年3~4回開催される保護者の会や理事会・全国患者会への参加・機関紙発行等と活発です。中でもサマーキャンプやクリスマス会は毎年100名前後の参加者がある大きなイベントで、首都圏だけでなく遠く東北や関西からの参加者もいます。コロナ禍においては主にWEB開催となりましたが、2023年からはサマーキャンプ・クリスマス会に代わる小規模な会を始めています。本格的な再開に向けて、血液凝固科はその活動を支援しています。
■サマーキャンプの様子
関節外来
第1・第3の金曜日午後 担当:竹谷英之先生(東京大学医科学研究所附属病院所属)
竹谷先生は血友病患者の診療経験が豊富で、手術件数も大変豊富です。関節の障害の重度で、痛みが強く続く場合は人工関節手術の相談も行っています。
小児期に関節出血を繰り返す場合などは、定期的にレントゲン検査を行い、今後の対応を相談しています。
心理相談外来
担当:小島賢一
臨床心理士による心理相談を行っています。
※心理相談外来は自由診療となりますので、別途費用がかかります。ご注意ください。
リハビリテーション
筋力トレーニングや関節可動域訓練などは7階のリハビリテーション科で行っています。くわしくは血液凝固科のリハビリテーションをご覧ください。
セカンドオピニオン
血液凝固異常症やHIV感染症についてセカンドオピニオンとしての相談に応じます。当院へのセカンドオピニオンをご希望の患者さんは、血液凝固科外来(病院代表 03-3399-110103-3399-1101)までお電話をください。
治験の取組み
血友病治療は、大きな変革期を迎えており新しい薬剤の国際共同治験を数多く実施しております。ご興味のある方は外来までご相談ください。