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荻窪病院の各診療科の特徴をご紹介いたします

泌尿器科

泌尿器科部長

大橋 正和

Oohashi Masakazu

■ 所属・認定資格等
医学博士
日本泌尿器科学会専門医指導医
日本腎臓学会認定専門医
日本生殖医学会生殖医療専門医
■ 経歴

1982年
慶應義塾大学医学部卒業

当診療科のご案内

診療予定表

泌尿器科に来られる患者さんはどういった症状の方が多いのでしょうか。

 泌尿器科の担当する主たる臓器は腎臓、膀胱、前立腺、尿道といった尿の通り道です。  患者様の症状としては、尿をすると痛い、尿が出にくい、尿の回数が多い、尿ががまんできない、尿が漏れる、尿に血が混じるなど、実に多彩です。結石が尿管に詰まると、腎臓や尿管の部位(脇腹〜側腹部)の激痛を伴います。また、尿にばい菌が入ってこじれると、尿をすると痛いという症状に加えて、高熱が出ます。患者様の年齢は、子供から高齢の方まで様々ですが、高齢化社会の影響で、高齢の方が圧倒的に多い印象があります。患者様の男女比は、男性7割、女性3割といったところです。

男性比率が多いですね。

 そうですね。男性は前立腺というものを膀胱の出口に持っていて、年配になると、この前立腺が肥大して尿流を邪魔して、尿が出にくい、尿の回数が多いといった症状を引き起こします。さらに、人間ドックや検診で、前立腺がんマーカーであるPSA値が高いことを指摘されて、つまり前立腺がんの疑いありということで、受診される方が多くなっています。それから、泌尿器科は、精巣(睾丸)、陰茎といった男性生殖器も扱いますので、性生活がうまくいかない方、勃起障害(ED)の方も受診されます。
 さらに最近、男性ホルモン低下による「男性更年期」という病態が話題になっており、最近精力がない、やる気が起こらないという方も診療対象になります。このように、泌尿器科は守備範囲がたいへん広い診療科です。

ご専門の「男性不妊」についてお話を聞かせていただけますか。

 これは私の専門ですが、男性不妊症があります。結婚し、通常の夫婦生活を行っているのにお子さんに恵まれないご夫婦のうちのご主人サイドの診療を、泌尿器科が担当します。不妊原因の割合は、ご主人サイドが約50%、奥様サイドが約60〜70%を占め、重なりあいの10〜20%はご主人と奥様の両方が原因という場合です。ですから、不妊症の原因の約半数はご主人サイドにあるのです。当院では、ご主人サイドの診療を泌尿器科が、奥様サイドの診療を併設の女性不妊サテライト「虹クリニック」が担当して、緊密なる連絡の下に、ご夫婦両方の不妊治療を行っています。

男性不妊について、もう少しお話を聞かせていただけますか。

 患者様の多くを占めるのが、精液中の精子の数が少ない、精子の運動性が少ないなどの原因で、奥様が妊娠に至らないケースです。さらに、他の婦人科不妊クリニックで精液検査を受けたところ、無精子症を指摘され、私のところを紹介されたという方もいらっしゃいます。
 また、性欲がない、射精ができないという方も受診されます。日本生殖医学会という生殖に関する医学会で認定された専門医は、2014年現在530人います。しかし、多くが産婦人科医で、泌尿器科医は45人のみです(私、大橋も専門医です)。このようにたいへん数が少ない泌尿器科生殖医療専門医のひとりである私のことを、患者様ご夫婦がメディアで検索されて、受診されています。遠方から来院される方もいらっしゃいます。毎年約200人の男性不妊初診患者様が、当科を受診されています。男性不妊症の具体的治療としては、精索静脈瘤が原因で精子の所見が悪い方には手術(高位結紮術、3泊4日入院、全身麻酔)をお薦めしています。
 また、治療不可能な無精子症の方には、顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE、2泊3日入院、全身麻酔)を施行し、回収された精子を虹クリニックで保管して、奥様から得られた卵への顕微授精(ICSI)に供しています。MD-TESEの精子回収率は、精子の通り道が詰まっている「閉塞性無精子症」で約90%以上、詰まっていない「非閉塞性無精子症」で約30-40%です。

一般の泌尿器科の治療について教えていただけますか。

 膀胱がんは、尿に血が混じることが初発症状となります。この血尿には、目で見てわかる血尿(肉眼的血尿)と、人間ドックや検診で指摘される尿潜血陽性(顕微鏡的血尿)があります。いずれも痛くもかゆくもありません。そのような患者様には、私達は、膀胱がんを念頭において検査を進めます。尿中のがん細胞の検査に加えて、超音波検査(エコー)で尿の通り道を丹念に調べます。最終的には内視鏡(膀胱鏡)で、膀胱内を観察して膀胱がんの確定診断を行います。膀胱がんが発見されると、CTやMRI検査で膀胱がんの広がりを調べた後に、約1週間入院いただいて、内視鏡的的切除術(TUR-BT)を施行します。当科ではこの手術を年間60~70例施行しています。
 最近では、人間ドックや検診で、前立腺がんマーカーであるPSA値が高いことを指摘されて、つまり前立腺がんの疑いありということで、受診される方が多くなっています。そのような患者様には、経直腸的前立腺生検(2泊3日入院、腰椎麻酔)を積極的に薦めていて、当科では年間約80例に施行しています。前立腺がんと診断された方には、CT、MRI、骨の検査等を施行して、前立腺がんの広がりを調べ、個々の患者様に応じた治療(手術療法、放射線療法、ホルモン療法)を施行しています。
 尿路結石症に関しては、残念ですが、2012年秋までで、当科は、尿路結石症に関する体外衝撃波破砕治療を終了しました。したがって、当科は、尿路結石症の痛みに対する応急処置は可能ですが、外科的治療が必要な場合は、治療対応できる他の施設をご紹介しています。
 また、当院では、慢性腎不全に対する透析治療には対応できませんので、そういう患者様には、透析治療ができる他の施設をご紹介しています。

今後、泌尿器科として力を入れていきたいことはありますか。

 当科は、 2年前から常勤医師数が2名から3名に増え、よりきめの細かい一般泌尿器科の診療ができるようになりました。あらゆる泌尿器科疾患の診療を行っていますので、遠慮なく受診していただきたいと思います。今後は、大学病院と提携し、腎臓の病気に対する腹腔鏡下の手術を取り入れてゆきたいと思っております。男性不妊症に関しては、患者さんのニーズがますます増えていますので、今後も力を入れていきたいと思います。

それでは最後に、近隣の先生や患者さんへのメッセージをお願いします。

 近隣の地域の先生方とは、年に数回ある病診連携の会を通して、顔の見える医療と言いますか、ドクター同士の面識もできましたので、ぜひ当科に泌尿器の患者様をご紹介いただければと思います。外来患者さんが多くて、診療までお待たせしてしまうのが心苦しいのですが、責任を持って必ずその日のうちに診察いたします。緊急の場合は、当日の外来担当医に直接お電話していただければと思います。
 近くにお住まいの患者様に対しては、何か尿のことでおかしいなと思ったら、恥ずかしがらずにぜひ当科を受診していただきたいと思います。泌尿器科というのは身体のなかでも恥ずかしい部分を担当する科ですので、受診に抵抗感を感じる方が多いと思いますが、腎臓、膀胱、前立腺、精巣(睾丸)等のがんが潜んでいることがあります。一番怖いのは血尿です。目で見て血尿が出た、痛くもかゆくもない、2、3日したら出血が止まった。だから医者に行かなくてもいいと放置すると、病院受診時には、それが進行した膀胱がんになっていたということがあります。患者様が病院にいらっしゃる時期が遅れると、その間にがんは進行してしまうのです。なるべく早期がんの段階で診断し治療する、それが鉄則です。また、ばい菌が尿に入ってこじれると、熱が出て、生命にかかわるほどに重症となります。尿のことで何かあれば、早いうちに荻窪病院泌尿器科を受診いただけたら幸いです。